本研究の目的は、東南アジアで流行している狂犬病ウイルスを分子進化学的に解析し、その感染環とリッサウイルスの存在を解明すると共に、その成果を基に本病の有効な防疫方法を提案することである。 本年度はタイにおける調査を重点的に以下の手順で進めている。 1)狂犬病及びリッサウイルスのN遺伝子を特異的に検出可能なプライマーをジーンバンクのデータを基に設計した。 2)タイの協力研究機関(チュラロンコン大学獣医学部・赤十字狂犬病診断センター・畜産局畜産疾病診断センター)の共同研究者にタイ全土から感染した犬及び一見健康なコオモリ並びに野ネズミの収集を依頼し、現在までにそれぞれ約50検体がタイ南部、ツンソンにある畜産局畜産疾病診断センターで凍結保存されている。 3)材料収集の関係で、2000年2月にタイ畜産局畜産疾病診断センターで、保存材料から狂犬病及びリッサウイルス遺伝子を抽出し、cDNA合成を行う予定である。 4)合成cDNAを申請者の研究室に搬入し、PCRによりN及びG遺伝子を増幅し、その遺伝子の塩基配列を決定し、分子進化学的解析を行うと共にリッサウイルスの存在を確認する。
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