研究課題/領域番号 |
11691189
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三上 章允 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40027503)
|
研究分担者 |
松村 秀一 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (30273535)
後藤 俊二 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90093343)
竹中 修 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00093261)
小松 英彦 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00153669)
山森 哲雄 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (80260206)
|
キーワード | カニクイザル / 色盲 / インドネシア / 生態調査 / 網膜電図 / 視物質 / 遺伝子 / 視覚 |
研究概要 |
ヒトで約2%と言われる色盲はこれまで、マカカ属のサルでは報告がなかった。しかし本研究の申請者らの予備調査で、インドネシア、ジャワ島パンガンダランのカニクイザル血液から視物質遺伝子の異常が見つかった。昨年度はまず、網膜電図による色盲判定のための予備実験、生態学的な予備調査を行うとともに、ジャワ島パンガンダランにおいて捕獲調査を行い、73頭のカニクイザルを捕獲した。捕獲後血液をボゴールに移送して視物質遺伝子の判定を行い、色盲ザルと判定した2頭とキャリアと判定した3頭をボゴール農科大学に移送し、今年度の研究のために飼育を継続した。今年度は、昨年度捕獲した色盲ザルの網膜電図を記録し(7月30日-8月11日)、色盲ザルで赤の感度が著しく低下していること、キャリアのサルは正常なサルと色盲ザルの中間値をとることが明らかになった。この成果は現在論文として投稿中である。また、ヒトの色盲テストを模したテストへ刺激による図形の弁別課題を用い行動実験をスタートした。行動実験はボゴール大学の研究者の協力を得て、2頭のサルで基本課題の訓練を実施し、訓練の最終段階で現地に出向き(3月2-8日)、行動の成立を確認した。この2頭のテストは来年度初頭に実施の見通しである。一方、色盲ザルの生態観察を目的とした捕獲(7月30日-8月11日)は、今年度はキャリア1頭を捕まえることができたものの、色盲ザルの捕獲には至らなかった。予備調査を含め連続4年に渡り同じ捕獲手段(吹き矢)を用いたことが原因と総括し、来年度は別の手法(捕獲ネット)で再挑戦の予定である。現地研究者の協力で、捕獲したキャリアをマーキングして生態調査を行ったが、正常なサルと行動上有意な差を認めなかった。
|