研究分担者 |
田吹 亮一 琉球大学, 教育学部, 助教授 (60155231)
速水 格 神奈川大学, 理学部, 教授 (80037184)
武田 正倫 国立科学博物館, 動物研究部, 部長 (20000143)
遠藤 一佳 東京大学, 大学院, 助手 (80251411)
千葉 聡 東北大学, 大学院, 助教授 (10236812)
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研究概要 |
1.本研究の目的の一つは,海底洞窟から未知の生物を見いだすことにある.パラオの一つの海底洞窟から,これまで全く知られていない殻形態を示す奇妙な巻貝を発見した.それを新属新種(Pluviostilla palauensis)として報告した.殻体構造と胎殻の特徴からアマガイ目に所属する可能性を指摘した.今後,この貝類の生体を見いだし,その所属を明らかにする必要が出てきた. 2.本年度の調査で,海底洞窟特有の生きた化石貝類であるオオベッコウガキがインド太平洋の海底洞窟に広く生息することを明らかにした.海底洞窟貝類群は地域性はあるものの,共通の種群が優先することが示唆された. 3.海底洞窟に特徴的に産出する巻貝類の一つはソビエツブ科である.これまでの研究代表者の調査で研究で約20新種を見いだしているが,今回2新属(Tinianella,Ampullosansonia),4種を発見し,分類学的に記載した. 4.これまでの調査で,熱帯の海底洞窟にはアマガイ目の未知の種を発見している.現在これらの属種を分類学的研究を進めている.それらの起源を知るため,化石貝類の検討を行ったところ,エニウェトック環礁からかって報告された種の中に海底洞窟のアマガイ目の未知種に近縁なものを見いだし,新属新種(Pisulinella miocenica)として報告した.これは,海底洞窟に生息するPisulina属に近縁で,海底洞窟に知られる種に伴って産生し,このような貝類が新第三紀中新世に生息していたことが明らかとなった. 5.海底洞窟から生きた化石と見なされる新たな原始的な貝形虫のグループが発見され,新属新種(Kasella ryukyuensis)として報告した.この新たな貝形虫属は深海の種群と類縁関係があり,Kasellaは深海のCarbobaidia属進化し,海底洞窟へ適応した例と見なされた.
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