研究概要 |
全世界の人口の半数が感染しているH.pyloriによる、上部消化管疾患の病原機序、感染宿主の人種背景の差による臨床病型の差は未だに解明されていない。そこで本年度は、感染者の臨床材料と感染動物モデルを用いて以下の事実を明らかにした。 1,H.pyloriの感染によりおこる胃炎には宿主の粘膜免疫システムを構成する、唾液腺、腸管の免疫誘導組織が関与し、H.pyloriと粘膜上皮の産生するケモカインだけでは胃炎の病理変化が説明できないことが判明した。 2,マレーシアにおける、中国系、インド系、マレー系の人々と日本人の間で、H.pyloriに対する感染率、と血清抗体が認識する抗原のプロフィールの差に付いて有意な所見を得た。これは人種により病型が異なることを示唆する所見である。 3,チェコスロバキアとの共同研究により、H.pyloriの感染の有無、胃癌の家族歴の有無、粘膜内に産生されるアンモニアの量、胃炎の程度の間に相関関係があるか否か検討した。
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