研究課題/領域番号 |
11691212
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
瀬口 春道 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90030866)
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研究分担者 |
ガルシア・デル・サス エバ 高知医科大学, 医学部, 助手 (10294828)
奥宮 清人 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (20253346)
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (70190494)
安野 早巳 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (40144307)
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
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キーワード | ニューギニア原住民 / ALS / PD / 嚢虫症 / 遺伝子マーカー / 飲料水 |
研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)ならびにパーキンソン・痴呆症候群(PD)は海外ではグアム島およびニューギニア島にみられることが知られている特異な神経難病である。グアム島における研究により、本疾患は家系内発病があり、遺伝的要因があると考えられるが、土壤や飲料水のような環境要因も関与するとされ、未だその原因は特定されていない。ニューギニア島では、特にインドネシア・イリアンジャヤ州(現パプア州)では1960年代に、米国による調査が行われ、次いでドイツによる調査が行われたが、インドネシア・パプア州の政治情勢とこの地区の未開性のため、充分な調査は行われていない。平成11年度には我々の調査はパプア州の中央部バリム盆地のワメナ地区を中心に聞き取り調査を行った結果、この地区より南部のメラウケおよびタナ・メラ地区の本疾患が分布することが判明した。平成12年には9月より10月にかけ一ヶ月余り、南パプア州のメラウケより、バデ・カピ地区のアウユ族のテリトリーに入り、聞き取り調査ならびに住民検診による神経疾患の把握ならびにその種類と頻度の調査を行った。その結果初期のALS患者1名とPD患者1名を見つけ出すことができた。今回の調査はパプア州の保健省による予防接種実施医師団と連携して、アウユ族の部落に容易に入ることが可能となり、友好的に検診、調査を行うことができた。今後はこれらの地域の住民の採血による遺伝子マーカーの解析が必要である。また、この地区は飲料水を主として雨水によるものが多く、低カルシウム高アルミニュームであるといわれている。 今回このように新たなALSならびにPD患者の発見は、未だに本疾患のような神経難病が存在することを示し、今後さらに長期的な本格的調査の必要性があることを示唆している。 ワメナ地区における嚢虫症の発現頻度およびその分布に関する研究では、平成12年度に、パプア州ジャビジャヤ県の患者130名余りの採血を行い、ELIZA法により解析した結果、陽性率は約60%で、非常に高率で、現在この分布を解析している。
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