研究課題/領域番号 |
11691214
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鳥山 寛 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (00108359)
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研究分担者 |
井関 充及 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (50176252)
板倉 英世 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00010512)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 熱帯アフリカ / 悪性腫瘍の疫学 / ウィルス由来癌遺伝子 / 発癌ウィルス / カポシ肉腫 / 子宮頸癌 |
研究概要 |
平成11、12年度に、研究代表者および研究分担者がケニア共和国に赴き、ケニア内陸部とインド洋沿岸部において、組織学的検索をもとに悪性腫瘍の疫学調査をおこなった。その結果、1)従来のHIV感染をともなわないアフリカ風土病型カポシ肉腫とは病態像の異なった、AIDSに合併したカポシ肉腫(AIDS関連型)が急増した、すなわち皮膚から結節状に盛り上がった病変が減少し、全身に丘疹状病変の撒布として見られる症例が増加した、2)ヒト免疫不全ウィルス(HIV)感染が高頻度に見られるケニア内陸部のヴィクトリア湖沿岸部では、ヒトパピローマウィルス(HPV)の持続感染が発症機序に関与すると考えられる子宮頸癌の悪性腫瘍中に占める頻度が増加し、患者年齢の若年化が進行しつつある。3)同地域ではエプスタイン・バーウィルス(EBV)の持続感染によると考えられるホジキン病や鼻咽頭癌が、多く見られる、4)同地域では、EBV感染によって小児に特異的に生じるバーキットリンパ腫が多く見られる、などが明らかになった。光顕および電顕的検索では、1)以前には多く見られた紡錘型腫瘍細胞の密な増殖からなり、線維肉腫様の像を示すカポシ肉腫が減少し、明瞭な血管様構造の増殖を示すカポシ肉腫が増加した、2)電顕的に、カポシ肉腫細胞の本体と考えられる紡錘形細胞の多くは、血管壁を構成する血管内皮細胞、血管周皮細胞などへの分化を示した、などがわかった。収集した腫瘍でのウィルス由来癌遺伝子検索では1)最近のカポシ肉腫の多くで、HHV-8遺伝子が陽性である、2)カポシ肉腫組織周囲のBリンパ球にも遺伝子が確認される、3)子宮頸癌の多くで、HPV遺伝子が陽性である、3)小児のホジキン病の大多数でEBV遺伝子が陽性である、などの結果を得た。現在、疫学データの解析とともに、各種の悪性腫瘍組織内におけるウィルス遺伝子を免疫染色法およびISH法で検索中である。
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