研究課題/領域番号 |
11691215
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60024684)
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研究分担者 |
江下 優樹 大分医科大学, 医学部, 助教授 (10082223)
都野 展子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (60295102)
津田 良夫 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (20207393)
杉山 章 名古屋女子大学, 短期大学部, 教授 (30196761)
沢辺 京子 産業医科大学, 医学部, 助手 (10215923)
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キーワード | 東南アジア / 蚊 / マラリア / デング熱 / 環境 |
研究概要 |
タンパク多型とrDNA28Sの第3ドメインに注目したゲノムDNA塩基配列から、我々が各地で調査対象としてきた東南アジアの主要マラリア媒介蚊であるコガタハマダラカのうち、石垣島の個体群がこれまで報告のない新しい同胞種で、しかもクラスター分析にみる類縁距離から別類と判断しても良いくらい、これまで報告されている3同胞種と隔たりがあることも判明した。一方、タイ北部のマラリア媒介蚊発生様相の、30年に亘る経年変化をトレースしてきたグループは、マラリアが未だ深刻なメーホンソン県では、永年の媒介蚊防除活動にも拘わらずコガタハマダラカの減少が認められないこと、過去にはマラリア流行をみたが、5年以上土着マラリアが発生しておらず現在の非感染地域とされているチェンマイ県の村では、コガタハマダラカの減少が著しいこと、をつきとめた。また、前者では森林の減少が微少であるのに対し、後者の開発は著しく森林面積が大きく減少していた。これらから森林開発と山地性マラリア媒介蚊発生の関係が実証されたことに加え、ミャンマーとの人の移動だけが問題視されてきたメーホンソン県のマラリア流行要因に、媒介蚊の非減少も考慮すべき要因であることを初めてデータをもって示唆することに成功した。コガタハマダラカの生息を促す環境を、総合的かつ計測に基づく数値をもって評価するための新しい手法として、デジタル写真画像の解析を進めてきた。この方法により発生環境の景観がもつ特徴を、把握し易い形で提示し評価する見通しがつきつつある。
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