高脂血症は動脈硬化の危険因子であり、魚油やn-3系脂肪酸投与で高脂血症改善効果が報告されているが否定的な結果もあり、必ずしも一致した結論に達していない。ネパール人では高中性脂肪血症が多くみられる。そこで、高中性脂肪血症が多発する栄養要因の探索及びn-3系脂肪酸投与の効果を研究する目的で、ネパール人の高中性脂肪血症患者にn-3系脂肪酸(肝油)を投与し、ネパール国トリブバン大学と共同栄養調査を行なった。 1.平成11年9月、高地住民623名を対象に採血し、同時に食物摂取調査を行った。 2.冷凍血清を日本に持ち帰り血清中の中性脂肪を測定し、中性脂肪が120mg/100ml以上の高中性脂肪血症者(81名)を抽出し、n-3系脂肪酸(肝油)投与対象者を決定した。 3.平成11年11月、高中性脂肪血症者(81名)を対象に、肝油の投与を開始した。 4.平成12年5月、在村中の6ヵ月間肝油の継続投与者32名の血清を得た。 5.肝油継続投与者を増加させるため、再度平成12年11月に高中性脂肪血症者(39名)を対象に、肝油を1人1日6カプセルの投与を開始した。 6.平成13年5月、在村中の6ヵ月間肝油継続投与者19名の血清を得た。 帰国後、平成13年に採血した血清について、血清中の生化学値、n-3系脂肪酸組成、アミノ酸値を測定した。次に、n-3系脂肪酸(肝油)投与前後の血清中の中性脂肪を減少改善を確認し、平成11年から平成13年間の食物摂取量と、血清中の生化学値、n-3系脂肪酸組成、アミノ酸値等の結果を纏め、高中性脂肪血症が発症する要因を明らかにした。
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