研究課題/領域番号 |
11691220
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
吉田 貴彦 東海大学, 医学部, 助教授 (90200998)
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研究分担者 |
藤本 亘 岡山大学, 医学部, 講師 (50165429)
山内 博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90081661)
相川 浩幸 東海大学, 医学部, 講師 (40102850)
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キーワード | 砒素 / 職業性曝露 / 中国 / 皮膚 / 色素異常 / 角化症 |
研究概要 |
中国の慢性砒素中毒は3タイプに分類される。1は内モンゴル自治区などで砒素汚染地下水の飲用によって起こるもの。2は砒素高含有量の石炭を燃料として用いて起こるもの。3は職業性の砒素中毒である。この内、1のタイプの中毒が最も曝露人口も多く中毒者が多い。そこで、砒素による生体影響を評価する指標を探るために、内モンゴルの慢性砒素中毒地域でフィールド調査を行った。慢性砒素中毒患者の皮膚所見は、躯幹部中心の色素異常(色素沈着と脱失)、手掌や足底中心の角化症、悪性新生物であるが、調査した多くの地域で曝露期間は25年未満と短く、住民に皮膚悪性新生物は観察されなかった。また砒素曝露量により各症状の発現に差があり、一般に色素沈着が初発皮膚症状と考えられていたが、高度曝露の場合は角化症が先行する例が観察された。発癌を推測する指標となる尿中DNA損傷物質の検出や、皮膚角化細胞増殖に関与するサイトカイン(GMCSF)の血中濃度などが砒素中毒の症状の評価に応用できる可能性が示唆された。 さらに湖南省の硫化水素鉱山と遼寧省鞍山の製鉄所コークス製造過程にて職業性に砒素曝露を受ける作業者につき疫学調査、生化学、分子生物学的検索を開始した。砒素鉱山では亜砒酸ヒュームと硫化砒素ダストの経気道曝露と飲料水からの砒素曝露があることがわかった。曝露年限も長く皮膚癌やBowen病が観察された。悪性腫瘍として肺癌、皮膚癌が多く発生し他の組織にも発癌例があった。コークス製造工場の作業環境調査、作業者の砒素曝露量と砒素中毒症状の評価についての調査の準備を進めている。
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