本プロジェクトは、平成11年度に始まり、平成13年度まで3年次にわたり執行された。この間、初年度には、日本とトルコの近代化比較のための共通の前提と分析枠組を構築すべく日本側分担者グループとトルコ側研究協力者グループの各々のなかで検討を進めるとともに、東京・京都でトルコ側協力者も招きワーク・ショップをもち、意見を交換した。平成12年度には、前年度の成果をふまえ、より具体的ないくつかのテーマに焦点を絞りながら研究を進め、比較の枠組をより確たるものとすべく、トルコ国立ボアジチ大学において日本側参加者も交えワークショップをもった。最終の平成13年度には、東京大学東洋文化研究所及び京都の国際日本文化研究センターで第3回のワークショップをもち、日土両社会と近代世界システムとのかかわりのあり方、両社会における支配の組織とその担い手の特質、アイデンティティーのあり方とその変容過程で生じてくるナショナリズムの日土両ケースの類似点と相違点、それとのかかわりにおけるアジア観のちがい、そして、社会変容の過程での各々の特質等の点について、比較の視座からかなりつっこんだ分析と討論を行った。その成果の一部は、英文冊子報告書としてまとめた。この成果をふまえ、報告書にさらに検討を加えたものを、英文・トルコ文・日本文で近い将来刊行する準備を進めつつある。
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