研究課題/領域番号 |
11694015
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所 |
研究代表者 |
平尾 良光 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部・化学究室, 室長 (40082812)
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研究分担者 |
井上 洋一 東京国立博物館, 学芸部・企画課, 室長 (60176451)
森田 稔 文化庁, 文化財部・美術学芸課, 文化財調査官
早川 泰弘 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部・化学究室, 主任研究官 (20290869)
三輪 嘉六 日本大学, 文理学部, 教授 (00222422)
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キーワード | 青銅器 / 殷周青銅器 / 早期中国青銅器 / 鉛同位体比 / 産地推定 / 化学組成 |
研究概要 |
東アジアにおける金属文明の発展およびその伝搬を理解する上で、金属の性質と産地の解明は重要である。古代の青銅は主として銅、スズ、鉛の合金であり、その取り扱いはそれぞれの文化の特徴を示している。この中で、鉛の同位体比は産地の情報を受けついでいるため、その同位体比測定は考古学の中で、生産一流通一消費という流れを理解する上で大切な側面を持っている。 青銅材料に関する化学組成と鉛同位体比は青銅取り扱い技術と材料産地の解明に優れた特徴を示している。この方法を応用した本研究では、今年度、中国文明の発展の中で、中央から周辺諸国への影響を明らかにしようとした。東アジアにおける青銅文明は中国中原地域における発展がその根幹であり、その文明の影響を受けて、日本、朝鮮半島、そして中国南海岸、四川省、雲南省、ベトナムあるいは新疆地域などの文明も成り立っている。中国中原地域における金属文明がこれら周辺諸地域へどのように影響したかを明らかにするために、これら周辺領域の資料を収集し、その化学組成、鉛同位体比を測定した。 商時代後期に相当する垣北商城、西周時代早期の揚子江流域の湖南省望城県高砂脊遺跡出土青銅器、朝鮮半島では楽浪土城出土青銅資料、また四川省・雲南省などの出土青銅資料に関して鉛同位体比を測定した。中国南海岸やベトナムなどの青銅資料も集め、化学組成、鉛同位体比を測定した。総数100点以上となった。 また、日本に所蔵されているいわゆる殷周青銅器に関しても、泉屋博古館、東京国立博物館所蔵品に関して鉛同位体比を測定した。その数約100点であった。これらの測定値は今までの資料に加えて、青銅文化解明のために基礎資料となりうる。
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