研究課題/領域番号 |
11694018
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
町田 章 奈良国立文化財研究所, 所長 (90000471)
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研究分担者 |
林 功 愛知県立芸術大学, 助教授
田中 淡 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (90000306)
沢田 正昭 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (20000490)
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キーワード | 唐代古墳 / 壁画 / 転写 / 輸送 / 保存修復 / X線CT / 暴露試験 / 補強 |
研究概要 |
(1)唐代壁画の保存修復において適切な保存修復処置を施すには、壁画壁体の構造を明らかにする必要がある。本年度は日本と中国の壁体の比較検討と予備的な調査を行なうために、上淀廃寺より出土した壁画壁体の内部構造をX線コンピュータトモグラフィ(X線CT)による非破壊的調査をおこなった。その結果、層構造と壁体製作時に混入されたスサの形状を明瞭に可視化することが可能となった。X線CTによる壁画壁体の非破壊的内部構造調査は、唐代壁画の保存修復において、壁体製作技法の解明と保存修復法の開発研究に大いに有効であることが明らかとなった。 (2)唐墓壁画の中でも晩唐期の壁画は漆喰層も薄く、裏面から新たな材料を用いて補強する必要がある。現在は厚さlcm程度の厚みで漆喰を裏面に施し、さらにガラスクロスを貼りつけて強化し、アルミ製の支持枠を取りつけている。漆喰層の重量や劣化、輸送時の衝撃緩和性などを考慮した場合、新たな材料を用いて補強する技術を開発する必要がある。そこで、透水性と成形性にすぐれ、軽量で十分な強度を発揮する変性エポキシ樹脂と土を混合して板状試片を作製し、漆喰層を施した上に各種顔料を塗布することでテストピースを調製した。西安と奈良において、顔料の変退色調査のための暴露試験を継続中である。 (3)中国側研究協力者を招聘し、唐墓壁画の断片の顔料分析を行ない、保存修復の基礎データを蓄積するとともに、唐墓壁画の保存修復に関する検討会を行なった。CGによる画像処理の研究は継続中である。
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