研究課題/領域番号 |
11694018
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
町田 章 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 所長 (90000471)
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研究分担者 |
田中 淡 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (90000306)
沢田 正昭 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (20000490)
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キーワード | 壁画 / 唐代 / 保存修復材料 / 彩色顔料 / エポキシエマルジョン樹脂 / 転写 / 赤外線リフレクトグラフィ / バッキング材料 |
研究概要 |
前年度に引き続いて唐代壁画資料の転写・輸送・保存修復のための基礎データの収集をおこなうと同時に、関連する麦積山や天梯山、炳霊寺などの壁画・塑像資料についても日中共同で現地調査を実施し、壁体の構造、彩色材料等の調査をおこなった。 また、今年度は、前年度より継続して、転写・輸送のための保存修復材料として、壁画の層構造の特質を保持できるエポキシエマルジョン樹脂製バッキング材料についての、詳しい使用方法についての検討をおこない、さらに炳霊寺涅槃塑像の復元にも適用を試みた。 また、保存修復における復元的研究の一環として、彩色顔料の分析および層構造について調査を継続した。そのなかで、参考とした内モンゴルの大召寺壁画より赤外線リフレクトグラフィによって、顔料下層より文字記号が始めて発見された。これは古代の壁画制作技法を解明する上では貴重な発見であった。また、同時にこれらの壁画よりスマルトが発見されたことも、中国における輸入顔料の歴史的な変遷を知る上では重要である。 いっぽう、将来、中国における古墳壁画の現地保存法を検討するため、日中共同で熊本県下をはじめ福岡県、北海道(フゴッペ洞窟、手宮洞窟)などで実施されている現地保存法の実見をおこない、保存環境の諸問題について現地討諭をおこなった。 なお、これまで得られた研究成果については、陜西歴史博物館において、奈良文化財研究所・陜西歴史博物館・陜西省考古研究所の共同開催により2日間にわたり研究発表会を開催した。日本からは奈良文化財研究所をはじめ、愛知芸術大学などが参加し、中国からは西北大學をはじめ文物研究所などの参加を得た。
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