研究課題/領域番号 |
11694022
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
箱木 眞澄 広島経済大学, 経済学部, 教授 (20007412)
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研究分担者 |
高樋 さち子 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (00261644)
香川 敏幸 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (70050234)
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キーワード | 中東欧諸国 / アキ・コミュノテール / ガバナビリティ / EU環境政策 / 産業の国際競争力 / 猶予期間 / 地下水汚染 / 環境技術国際協力 |
研究概要 |
中東欧諸国は、現在、EUと加盟に向けての詰めの交渉を行っている。ところで、EU加盟が認められるためには数万頁にもおよぶアキ・コミュノテールを自国内に取り入れなければならない。これは中東欧諸国には厳しいものである。環境政策も例外ではない。市場経済体制へ移行中のこれら諸国の中には、諸制度の激変に伴う新しい事態への対応が遅れがちの國もあって、「ガバナビリティ」が問われる。たとえば、EUの環境政策は世界的にも先進的であって、その取入れには莫大なコストが必要であり、EU、EBRD、米国等からの援助があっても、膨大な財政負担を強いられる。しかも、汚染防止機器の設置は、産業の国際競争力にも響く。現在でも高い失業率が、国際競争力低下によってさらに高くなる心配がある。そのため多くの中東欧諸国がEU環境政策の導入に対する「猶予期間」を要求しているのである。もっとも社会主義経済体制下ではもっと酷かった環境汚染が、移行経済の下ではるかに改善されているので、環境問題についてのガバナビリティはそれなりに改善されているとはいえよう。 ハンガリー、ルーマニア等のように現在でも汚染が相当酷くて、EUから強く改善を求められている国があることからも分かるように、中東欧諸国といっても国によって取組みは千差万別である。しかも、目に見える汚染はかなり改善されている国でも、目に見えない汚染、たとえば地下水汚染等に関しては統計もよく整備されていないのが現状である。これは日本等でも同様であるが、測定技術がまだ開発途上にある、といった事情もある。このような技術は確立され次第直ちに国際的に伝播させる必要があろう。環境汚染は人為的な国境とは関係なく他の地域に直ちに拡散するので、良好な地球環境が子孫に受け継がれて行くよう、環境技術に関する国際協力・援助体制をさらに強めて行くべきであろう。
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