研究課題/領域番号 |
11694022
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
箱木 眞澄 広島経済大学, 経済学部, 教授 (20007412)
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研究分担者 |
高樋 さち子 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (00261644)
香川 敏幸 慶応義塾大学, 総合政策学部, 教授 (70050234)
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キーワード | 環境NGO / 自主労組連帯 / 国際河川 / 地下水汚染 / EU環境アキ / 工場排水 / 国際研究者交流 / ポーランド:ハンガリー:チェコ:ルーマニア |
研究概要 |
ポーランドにおける環境問題に対する環境NGOの取り組みは、同国における環境政策の在り方に対してかなりの影響力を持ってきた。1970年代当初ポーランド政府は、環境汚染は同国の国民が生活水準を上げて行くために支払うべき代償であるとしていた。しかも、情報は国民のためにはほとんど公開されてはいなかった。ところが80年代初めの自主労組連帯の出現により、社会・経済・政治などに関するあらゆる情報が連帯により意識的に流通するようになった。そして、環境汚染の元凶とされたスカビナ・アルミニウム工場の例に見るように諸工場が閉鎖を余儀なくされる、といった事態にさえなったのである。このような事態を受けて85年には環境問題担当の役所としての環境保護・自然資源省が設立された。そして環境保護・水質保全基金も89年には設立され、環境政策の具体化に大いに有効であった。 中東欧に限らず、欧州には多数の国際河川が存在する。これらの河川沿いには数か国以上が立地していて、それらの国々の間での環境問題に対する認識にはかなりのずれがある。しかも、これらの河川は、船舶航行など運輸目的への利用だけではなく、河川水は各国が飲料用・工業用・灌概用などに利用している。ここに欧州における河川汚染問題の深刻さとそれへの対処の重要性とがある。河川汚染は、家庭用雑配水・工場排水・農業排水・牧場排水等によって引き起こされる。また、工場で使用される溶剤・洗浄液その他微量要素の地下浸透による地下水汚染などによっても引き起こされる。このような問題は、EUにとっても以前から問題とされ、それへの真剣な取組みが環境政策に反映されてきた。中東欧諸国は、EU環境アキの導入によって欧州全体としての共通の環境規制にコミットするとともに自国のみならず、欧州全体としての環境問題の緩和に貢献できるようになる。
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