研究課題/領域番号 |
11694031
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北山 忍 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10086324)
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研究分担者 |
リチャード ニスベット ミシガン大学, 心理学部, 教授
ヘゼル マーカス スタンフォード大学, 心理学部, 教授
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代文化学部, 助教授 (60255940)
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キーワード | 文化と認識 / 感情的情報処理 / 発話 / 注意 / 理解 |
研究概要 |
本年度は、ストループ課題を用いて日本人とアメリカ人の情報処理特性を検討した。具体的には、単語の感情価と語調の感情価の感情価を同程度に設定した上で、ストループ型干渉効果を検討し、単語の感情価と語調の感情価の相対的優位性がそれぞれ英語と日本語に結びついた情報処理系の性質であるという可能性を検討した。まず、評価的意味において異なる単語を日本語と英語で数多く用意し、次いでこれらの言語を母国語とする男女の話者5名ずつに、「まろやかな」語調か、「ギスギスした」語調か、あるいは「事務的な」語調かのいずれかで、それらを読んでもらった。これらの発話は、400hz以上を取り除き、意味の判別を不可能にし語調のみが残るようにした上で予備調査にかけた。予備調査では、日米両国の被験者に各発話の語調の感情価の快・不快を評定させた。用いる単語の字義的意味の感情価についても同じ尺度上に評定させる。加えて、これら刺激単語の発音の鮮明さ、長さ、単語の生起頻度についても調査する。これらの情報に基づいて、(1)単語の感情価と語調の感情価を同程度に設定し、(2)これらが独立に操作され、かつ、(3)他の次元の性質をできる限り統制した刺激セットを日本語と英語のそれぞれで作成した。ついで、日本人(90名)とアメリカ人(85名)の被験者に、それぞれの言語で話された単語を聞かせ、単語の感情価か語調の感情価の快・不快の判断を行わせた。判断の正確さと反応時間の双方で、日本語では単語の感情価判断が競合する語調の感情価により、また、英語では語調の感情価判断が競合する単語の感情価により、それぞれ干渉を受けるであろうと予測したが、結果はおおむねこれにそうものであった。現在、この結果をバイリンガルで検証するために、フィリピンで英語とタガログ語で同様の刺激を作成中である。
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