日本とオランダの農業・農村は、その集約的農法による農業公害(水質汚染、土壌汚染、アンモニア・エミッションによる大気汚染・悪臭)、農産物過剰生産の抑制政策によるセットアサイド農地の荒廃化、またそこから派生する多種多様な環境問題を共通して抱えている。生物多様性を保全しサステイナブルな農業農村を実現するためには、本来自然と調和的な産業としての農業とその場としての農村空間の再生が不可欠であるという認識もとで、日本とオランダの研究者が両国の実態と環境政策、農村計画・開発手法を検討して有るべき解決策を確立しようと共同研究を行った。第一年度として3月にオランダの研究者の参加のもとに東京で「EUとオランダの農業環境政策の新動向」をテーマにしたセミナーを開催し、その Proceedingとして F.Brouwer氏が「New CAP Reform and Agri-environmental Policies in the EU」、松木洋一が「オランダのManagemnt Agreement政策と自然管理農場の実態」を作成公表した。 また、1999年11月には日本農業法学会の年次大会シンポジウム「中山間地域の維持と農林業」で松木洋一が「『中山間』地域の多産業化と人会共有地の市民的構造改革-阿蘇地域の共有林野の構造改革と「阿蘇グリーンストック」の役割」を報告し、学会誌に掲載予定である。
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