研究概要 |
リボソームは,(原核生物由来のリボソームの場合)3個のrRNAと50数個の蛋白質から構成される拡酸蛋白複合体であり,その総分子量は,270万にものぼる.リボソームの構造解析は,全体の構造を一度に決定しようとするアプローチと,個々の成分を抽出して高精度で解明しようとする研究が同時進行している.本計画研究では,両方のアプローチをとっている研究グループが国際的に協力することにより,リボソームとその構成成分の立体構造解析を通して,翻訳機構を分子レベルで解明しようとするものである.この目的にしたがって,本年度は,次の項目について研究を行った.1.リボソーム蛋白質S7と16S rRNAとの相互作用の研究: 私達が立体構造解析したリボソーム蛋白質S7は,16S rRNAの構造構築因子として知られている.そこで,S7と結合する16S rRNAフラグメント(926-986/1219-1393)をT7 RNA Polymeraseを用いた転写系によって大量に調整した.現在,S7との相互作用を調べると共に,複合体の結晶化を試みている.2.リボソーム蛋白質の構造解析によるRNA結合モチーフの研究: S7と共に30SサブユニットのHeadを構築する役割を担った蛋白質,S9,S19について,それぞれ,大量発現系を構築した.3.超高度好熱古細菌Aeropyrum pernix由来のリボソームの結晶化と構造解析: Aeropyrum pernixは,海洋性超高度好熱古細菌である.この菌体を用いてリボソームを調整した.現在,X線構造解析可能なリボソームの結晶化を試みている.
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