研究概要 |
ブルックヘブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory, BNL)の放射光施設NSLS(National Synchrotron Light Source)のウィグラービームラインX21に設置してあるX線非弾性散乱測定装置を利用してベンゼン、トルエン。スチレンなどの一連の芳香族化合物液体からのX線二次光学過程による非弾性散乱スペクトルを移行エネルギーおよび移行運動量をパラメータとして測定し、放射線化学の基礎データとして重要な真空紫外領域での吸収係数、誘電率など光学パラメータを決定することに成功すると共に、運動量によって吸収ピークのエネルギーは負の分散を示すことを見出した。 この結果が持つ物理的意味については帰国後派遣先のC.-C.Kao博士とe-メイルでの討論を重ね、ベンゼンの負の分散については本年3月に開かれるアメリカ物理学会で発表の予定である。 また、World Scientific社から出版が予定されている単行本「Chemical Application of Synchrotron Radiation」の中にKao博士と共にX線二次光学過程による真空紫外領域での光学定数測定の意義、および様々なX線非弾性散乱過程とその応用について執筆中であるが、その中にもこの研究の成果を含めることになっている。
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