研究課題/領域番号 |
11694061
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
浅野 素子 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80201888)
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研究分担者 |
石川 直人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20251605)
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キーワード | 超分子 / 時間分解ESR / 常磁性金属イオン / エネルギー移動 / 時間依存密度汎関数法 / 電子多重項 |
研究概要 |
超分子系でおこる長距離エネルギー移動や電子移動の重要な中間体には、複数の不対電子が2中心以上で存在し、系のダイナミックスを大きく制御する場合が少なくない。特に生体内反応や人工デバイス素子は多くの場合、金属イオンを含み、中間体の電子状態及びダイナミクスは不対電子のため複雑になると認識されるに過ぎない。本研究では多重項スピンをもつ超分子の励起構造とダイナミクスを量子化学と分光学的手法により解明することを目指している。 まず2ユニットからなるボルフィリンダイマーにおけるエネルギー移動と励起状態の緩和過程について、液晶を用いた時間分解ESRスペクトルを解析することにより、特にエネルギー移動、項間交差、分子内緩和のスピン選択性を明らかにした。常磁性の銅(II)ポルフィリンと弱く相互作用しているフリーベースポルフィリン部において特有に観測されるスピン副準位選択的電子緩和の速度を求めた。また、弱く相互作用する二重項_三重項系のより一般化したとり扱いを開発した。 高い電子多重項を持つ金属錯体の励起状態の電子構造を計算する上で有用であるTD-DFT法(時間依存密度汎関数法)の問題点について検討した。同手法で取り入れられる3種類の励起参照配置のうちDubles-to-Virtual型の遷移が主である場合に著しくずれたS^2値を与える。一方励起エネルギー値については、XCIS法を用いることにより改善されることを明らかにした。また、ポルフィリン金属錯体の励起状態における構造変化と電子配置に対する置換基効果を量子化学計算を用い研究した。特に励起三重項状態・励起一重項状態において垂直励起状態とJ-T変形後の状態との違いが明らかになった。
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