第一原理的に磁気励起の計算(マグノンの振動数などの計算)を行うためにスピンスパイラルのスピン構造に適用することができるアルゴリズムを、第一原理分子動力学コードに設備した。擬ポテンシャルおよび平面波基底を用いているため計算コードは単純で単位胞に比較的多数の原子が存在する場合にも拡張が容易であると考えられる。開発された計算コードを強磁性bcc鉄に適用してマグノンの振動数の計算を行った。しかしながら結果は、現在のところ実験結果や計算方法の異なる他の計算結果と50%程度異なっており計算方法などの再検討が必要となった。この不一致の原因は、現在調査中であり次年度での課題である。研究目的の一つである鉄アモルファスなどの構造不規則系の磁気構造の研究は、計算コードの並列化などの計算コードの整備が必要であったため、計算が遅れているが、次年度には計算結果が期待できる。原子のスピンについての自由度を分子動力学に取り込む試みは、平面波基底と原子を中心とする局所的な座標系の相性がわるく難航しているが、次年度もこの研究項目を研究する計画である。
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