ナノメートルサイズ磁性体の電磁気的特性

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11694067
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 北陸先端科学技術大学院大学
• 研究代表者: 堀 秀信 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (20028244)
• 研究分担者: 古沢 昌宏 セイコーエプソン(株), 研究主任 (00251976) ; 山田 省二 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (00262593)
• キーワード: ナノ粒子 / Pd / Au / 磁気光学効果 / 磁化 / 磁区

研究概要

本年度はまずGaAs上で現れる短冊型の磁性体(例えば厚み50nm幅500nm、長さ30ミクロン)の示す特異な磁性に注目した。つまりこの磁性体は長手方向ではなく軸方向に垂直方向に多数の磁区が反強磁性的に配列するという変わった性質である。これをたてよこ平行に並べ合計32000本ならべ通常の磁気測定とESR測定を予備実験として行った。その結果通常の強磁性Niでは観測されない共鳴ブランチが見いだされた。一方PdとAuのナノ微粒子試料を準備しその基礎実験を行った。この結果の重要な結果は典型的な非磁性体のAuでも強磁性を帯びていることを見いだしたことである。この結果はPhys.Letter誌に発表された。これ等の結果を前提にパリ南大学との共同実験をおこなった。パリ南大では磁気光学効果実験の観測技術開発を行っており、それを利用した我々の試料についての実験をパリ南大で実際行った。この実験の打ち合わせのため、夏に日本側から出向きセミナーを行い、秋にパリ南大側がこちらに出向き本学の試料作りの実際と装置群の視察とパリ南大側の装置群と研究の現状の紹介のセミナーを本学(JAIST)で行った。本番の共同実験は今年一月はじめに行われ、磁化測定では予想できなかった偏光の磁場依存性が見いだされた。このことの物理的な解析を現在行っているが、いまのとろそのモデルが立っていない。次年度での集中討論で一応の見通しを立てる予定である。なおこの共同実験を基礎に、我々の行ったセミナーを通じてフランス側が我々の試料に興味を持ち、研究の場がパリからストラスブール大の研究者まで及んだ。現在彼らとも共同研究を行っている。

研究成果

• [文献書誌] H.Hori,T.Terani et al.: "Anomalous Magnetic Polarization Effect of Pd and Au Nano-particles"Phys.Letters. A263. 406-410 (1999)
• [文献書誌] H.Hori,Y.Seino et al.: "Temperature Dependence of Magnetoresistance of Ni-stripes on GaAs"Physica B. (to be published). (2000)
• [文献書誌] Y.Nakae,Y.Seino et al.: "Anomalous Spin Polarization in Pd and Au Nano-particles"Physica B. (to be published). (2000)
• [文献書誌] Z.Honda,K.Katsumata et al.: "Low-Temperature High Field Magnetization Measurement on a Quantum Spin Chain"Physica B. (to be published). (2000)
• [文献書誌] N.Aoki,Y.Ochiai,et al.: "Cross-sectional transmission electron microscope observation of small structures made by field-induced scanning tunneling"Jpn.J.Appl.Phys.Regul.Pap.Short Nortes. 38. 3863-3865 (1999)
• [文献書誌] Train,C. ,Beauvillain,P.,et al.: "Spectroscopic polar magneto-optical Kerr rotation on Co/Pt interface"J.Appl.Phys.. 86. 3165-3170 (1999)