研究課題/領域番号 |
11694082
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
比連崎 悟 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (60283925)
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研究分担者 |
保坂 敦 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (10259872)
土岐 博 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (70163962)
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キーワード | 国際研究者交流 / ドイツ:スペイン / π中間子原子 / 中間子原子核 / (d,3He)反応 |
研究概要 |
本年度の研究実績としては、まず、中性子過剰核等の不安定原子核の回りにπ中間子原子を生成する可能性について理論的な評価を進展させた点が上げられる。広い範囲の不安定核について生成断面積を系統的に評価し論文として発表したほか、ハロー中性子の存在が、π中間子原子生成反応である(d,3He)反応の断面積に度のような影響を及ぼすか定量的に評価した。この結果は、2001年10月に行われた日米合同の物理学会で報告されている。 更に、206Pbを標的としたπ中間子原子生成実験結果から原子核媒質中でのπ中間子原子の振る舞い、更にはカイラル対称性の回復状況を調べる試みが進行している。また、π中間子原子の最も深い1s状態をよりクリアーに観測するために、中重核領域での探索実験を行われて非常によい結果が得られている。 電気的に中性なη中間子やω中間子の束縛状態を研究する試みも進行しており、現在まで考えられていた(d,3He)反応以外にも、p+d->+p+p+p+π反応の中間状態の共鳴として束縛状態の存在する証拠をつかめる可能性が指摘されている。また、ηNがN^*(1535)共鳴バリオンと極めて強く結合することにより、η-原子核の束縛系を調べることによって、N^*(1535)の核内での振る舞いに対する新たな知見が得られる可能性もある。 この他にもハドロンに対するカイラル模型を用いて真空中でのハドロン反応/相互作用を理解する試みが進み、現象論から一歩進んだ信頼のおけるハドロン模型が進んでいる。中間子の光を伴う崩壊過程の理論的研究を行い、実験データとよい一致を見ている。
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