研究概要 |
1.生態系と自然環境の調和を長期的に維持していくためには、人間活動から派生する環境破本研究は地球環境保全の鍵となる化学現象の開発・解明・制御を最先端の錯体化学を基盤として有機合成化学、生体機能関連化学間の密接な共同研究が必要である。内外の最先端の錯体化学者間の密接な連携により環境保全の鍵となる化学現象の開発・解明・制御への道が開かれることが期待される。本年度はこのような観点から以下の国際共同研究を展開した。 2.生体機能制御系機能性金属錯体のバイオメカニズムの解明を目指し生体適合性に優れた新規糖連結配位子を開発した。すなわち金属イオンに配位して、安定なキレートを形成しうる糖連結ジアミンを開発した。また、水溶性の向上ならびに毒性の軽減を目指し、複数の糖質が導入されたジアミン配位子の合成を行った。さらに、光線力学的療法(PDT,Photodynamic Therapy)への応用を目的として、糖連結フラーレン誘導体の合成を行い、HeLa細胞を用いて、光毒性評価を行った。フラーレンと糖連結部位において、五員環と六員環の間であること[5-6位]が13C-NMR,IR,UVスペクトルにより示された。合成したフラーレン誘導体の一重項酸素発生能を測定した結果、効率よく一重項酸素が発生することが判明した。また、フラーレン誘導体とHeLa細胞を用いて、光毒性評価を行ったところ、すべての化合物で暗所毒性はみられず、maltose,D-xyloseが連結されたフラーレン誘導体では、光毒性(殺細胞効果)がみられた。またポルフィリンどうしの」π-πスタッキングによって、集積可能なアミド系化合物を合成し、光エネルギー変換のための基礎研究を行った。
|