研究概要 |
1.オイルボディに内在する蛋白質の解明 発芽時の種子オイルボディ中の蛋白質がリパーゼ活性を示したことから,種子ではオイルボディ中の蛋白質が内部の貯蔵脂質を分解し,自らの生長のエネルギー源として役立てているものと考えられた。しかし,苗条原基細胞のオイルボディー内の蛋白質を調べたところ,ペプチダーゼ活性を有する蛋白質が単離された。そこでこの蛋白質の構造(アミノ酸配列)を解明した。 2.オイルボディ内ペプチダーゼのトポロジーの解明 カミツレ苗条原基細胞のオイルボディ中に含まれる蛋白質は,種子,発芽種子および葉のオイルボディ中にも存在しており,オイルボディ特有のカルボキシペプチダーゼであることがわかった。このカルボキシペプチダーゼは2kDaの部分をオイルボディーの外部に出していることが明らかとなった。 3.オイルボディからのストレス応答関連蛋白質の分泌 カミツレ苗条原基細胞に外からゲラニオールなどのモノテルペノイドを投与したところ,細胞の褐変化と過酸化水素の発生がみられ,さらにその細胞の核の断片化とDNAのラーダー形成がみられた。このことより,植物細胞は化学的ストレスによってアポトーシス様の細胞死を引き起こすものと考えられた。また,このアポトーシス誘導に際しては新たな蛋白質合成は必要としないこと,オイルボディ内在蛋白質が細胞外に分泌されることがわかった。
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