原子レーザー実現に向けた極超低温(Sub-Kelvin)における原子衝突物理

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11694087
• 研究機関: 山口大学
• 研究代表者: 季村 峯生 山口大学, 工学部, 教授 (00281733)
• 研究分担者: 崎本 一博 宇宙科学研究所, 宇宙空間原子物理, 助手 (60170627) ; 島村 勲 理化学研究所, 原子物理研究室, 副主任研究員 (30013709)
• キーワード: 超低速イオン / 発光性電荷移行 / Bose-Einstein Condensation / 弱長距離力

研究概要

季村は2000年10月Harvard大学Dalgarno教授グループに滞在し超低速での低価イオンとH,He原子との衝突過程についての最終的な数値計算を実行し、結果についての討論を行ってきた。さらにこの結果を共著論文としてまとめ、米国物理学会誌に投稿した。超低温でのNa^+イオンとH原子との衝突による発光性電荷移行過程についての研究を始め、100K以下での温度によるこの過程の衝突ダイナミックスについての新しい知見が得られ始めており、Bose-Einstein condensationについての理解が深まることが期待される。この研究も共同論文として現在まとめている。昨春Stancil博士が来日した折り、季村と共に弱長距離力を季村・島村散乱理論に組み入れNe^++He衝突系に応用し弾性散乱非弾性散過程断面積の決定について数値計算を共同で実行したが、この仕事は完結し、研究成果は共著論文として米国物理学会誌に投稿している。2000年11月にDalgarno教授が季村・島村を訪問し、今までの共同研究の成果のまとめと今後の研究の展開・発展について密な議論討論を行った。この打ち合わせには、日本の他の原子分子物理研究者も多数参加し、今ある我々の日米協力共同研究の組織を、更に多くの若い研究者に参加してもらった、大きな組織に日本・米国両側共に広げ、ダイナミックで生産的な国際研究組織にするよう決定した。Dalgarno教授は、我々の2年間の共同研究成果を、上智大、宇宙研、国立天文台、東大、理研等でセミナーとして講演した。

研究成果

• [文献書誌] M.Kimura: "Electron capture in collisions of protons with CD molecules in the kev region"Physical Review A. 61. 0032708-1-0032708-9 (2000)
• [文献書誌] R.J.Buenker: "Theoretical study of the electronic structure of carbon dioxide"Journal of Chemical Physics. 113. 1046-1054 (2000)
• [文献書誌] J.P.Gu: "Change transfer in F^<2+> ions colliding with He atoms below kev energies and its reverse process"Physical Review A. 62. 052720-1-052720-7 (2000)
• [文献書誌] T.Kusakabe: "Change transfer in collisions of slow H^+ ions with H_2, D_2, CO and CO_2 molecules"Physical Review A. 62. 062714-1-062714-7 (2000)
• [文献書誌] T.Kusakabe: "Change transfer in collisions of slow H^+ ions with hydrocarbons molecules : CH_4, C_2H_2, C_2H_6 and C_3H_8"Physical Review A. 62. 062715-1-062715-5 (2000)
• [文献書誌] M.Kimura: "Theoretical Consideration of Plasma Processing Precesses"Academic Press. 27 (2000)
• [文献書誌] M.Kimura: "Positron-Polyatomic molecule Scattering"American Institute of Physics. 12 (2000)