研究分担者 |
吉村 喜男 KEK素粒子原子核研究所, 教授 (50013397)
小林 正明 KEK素粒子原子核研究所, 教授 (40013388)
岡田 憲志 京都産業大学, 理学部, 教授 (90093385)
千葉 雅美 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60128577)
牧 孝 産業医科大学, 環境管理学部, 教授 (40037198)
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研究概要 |
本研究はCERNにおけるPS212(通称DIRAC実験)を通じて陽子シンクロトロン(PS)で加速された24GeV/cの陽子ビームを用いて生成されたπ^+π^-原子の寿命を直接測定することによってパイ中間子の散乱長を求め,これをカイラル摂動理論で求められているものと比較することにより非摂動領域でのQCD(量子色力学)の検証を行うことを目的としている.我々は本科学研究費を主に実験旅費として本年度も研究を進めてきた.平成12年度はビームは5月から11月迄与えられ,その間データ取得を行った.又それと平行して取得データの解析と実験装置の改良を行った.解析について言えば1999年中に得られたデータの予備解析は終わり,2000年に取得したデータについての解析が進行中である.予備解析の結果として,1999年データについて緩いカットにおいて266±79の,きついカットにおいて160±45の,全体としては約240個の原子対が同定されている.装置の改良についてはデータのバックグラウンドを減らすための色々な対策をとりながら,PSからの引き出しビーム強度を徐々にあげて実験を続けてきた.日本グループの担当するトリガーについていえば,ScifiホドスコープやdE/dxカウンターのチューニング,読み出し回路や積分回路の改良,トリガーロジック回路の改良等によって実験条件の改良に大きく寄与した.現在の状況を考えると2-3年後には5%の精度で散乱長が決められると考えられる.結果の一部はすでに学会等で報告されているが,1999年データについては2001年5月に,2000年データについては同じく秋までに結果を出版すべく準備を進めている.
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