研究課題
基盤研究(A)
ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)に建設された電子・陽子衝突型加速器HERAを用いて、電子陽子間の深部非弾性散乱を精密測定し、新粒子の探索と陽子構造を測定する。実験装置は、我々を含む12カ国の国際共同実験グループZEUSにより建設された。この装置を用いて、今年度は、27.5GeVの陽電子と920GeVの陽子との衝突実験を、7月から年度末まで、ほぼ連続して行った。データ収集は順調に進み、積算ルミノシティ25pb^<-1>を得た。実験期間中、高エネルギー加速器研究機構の久世正弘助手と山崎祐司助手を現地に派遣し、実験装置の運転維持を進めるとともに、取得したデータ解析を進めた。久世は荷電流深部非弾性衝突の解析、山崎は深部非弾性回折反応の解析を主に担当した。今年度のデータ収集と併行して、平成10年までに収集した陽電子・陽子衝突反応での中性流及び荷電流反応のデータを論文として完成した。得られた結果は標準模型の予想とよく一致し、そこから新相互作用等の模型に制限を加えることができた。また、回折反応、光子・陽子反応の解析も進み、ドイツ・フライブルグで行われた国際会議Photon99や、イスラエル・テルアビブでの電子・陽子反応の研究会で、山崎が結果を発表した。今後、HERA加速器の改造が計画されており、それに伴ってZEUS測定器の改造を進めている。この計画を進める打合せのため、徳宿が2度DESYを訪問した。日本で進めている飛跡検出器の読み出し回路の製作とトリガー回路の改善に関して、議論を進め、研究者間同意を得ることができた。
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