研究課題/領域番号 |
11694104
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
吉田 哲也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50222394)
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研究分担者 |
槇田 康博 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (30199658)
吉村 浩司 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50272464)
山本 明 高エネルギー加速器研究機構, 低温工学センター, 教授 (30113418)
野崎 光昭 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10156193)
佐貫 智行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70323491)
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キーワード | BESS / 低エネルギー反陽子宇宙線 / 気球搭載型超伝導スペクトロメータ / 陽子・ヘリウムスペクトラム / μ粒子残留大気圧依存性 / 極地長時間気球実験の検討 |
研究概要 |
気球搭載型超伝導スペクトロメータ(BESS)を用いて地磁気限界硬度の小さなカナダ北部において宇宙粒子線観測気球実験を実施し、太陽活動がほぼ極大に達する時期での低エネルギー一次宇宙線反陽子のエネルギースペクトラムを観測した。同時に一次宇宙線陽子・ヘリウム成分の精密なエネルギースペクトラムを測定し、また気球上昇中のデータから二次宇宙線μ粒子成分のエネルギースペクトラムの残留大気圧依存性を観測した。 宇宙線観測気球実験は平成12年6月末よりカナダ・マニトバ州リンレークにおいて準備を行い、7月末には実験準備を完了した。その後実験に適した地上天候や上空の風速条件を待ち、8月10日に打ち上げを実施できた。気球は高度37kmの高空を約45時間にわたって浮遊し、その間測定器は順調に動作し搭載電池容量の限界まで35時間のデータ収集が行われた(上昇中の2.5時間を含む)。今回の実験においても前年度とほぼ同等の高精度観測を実施でき、これまでのデータ解析では600例程度の反陽子事象を捉えられたものを考えられている。 今後宇宙起源反陽子の存否を探索していくにあたって、その観測の基準となる二次起源反陽子のエネルギースペクトラムを正確に知る必要がある。特に一次宇宙線への太陽活動の影響に電荷依存性が存在するか否かを今後研究するにあたって、太陽活動がほぼ極大に達し太陽磁場が反転する時期に一次宇宙線反陽子の高統計観測を成し得た意義は大きい。 またこれまでにBESS実験で得られた成果を吟味し、将来の方向性を議論するために第7回BESSワークショップを開催し、国内外の研究分担者・協力者により極地における長時間気球実験を実施し一桁以上高感度の宇宙起源反陽子探索を目指すことが検討された。
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