研究課題
我々は、大型光学赤外線望遠鏡「すばる」用に、次世代の高性能観測装置を開発して搭載するために、ハワイ大学や、英国王立天文台などとともに共同開発研究を行ってきた。今年度は、平成12年冬から本格始動したすばる望遠鏡共同利用に向けて、第1期共同利用観測装置の試験調整に重点を置いて、研究を推進した。その結果、近赤外線分光撮像装置(IRCS)とすばる主焦点カメラ(SuprimeCAM)は試験調整を終了し、共同利用観測に供することができた。また、冷却中間赤外線観測装置(COMICS)、微光天体分光撮像装置(FOCAS)、コロナグラフ撮像装置(CIAO)、高分散分光器(HDS)、OH夜光除去分光器(OHS)の5つの装置の試験も行い、平成13年度より共同利用が行えるレベルまでに完成させた。いずれの装置も、望遠鏡搭載後の試験観測で予定性能を達成し、科学的データを得る事ができた。これらの装置によって、新たな天体現象の発見もなされている。さらに、波面補償光学装置(AO)をすばる望遠鏡に搭載し、すばるの結像性能を理論的極限にまで向上させられることを実証した。これらに加えて、第2期共同利用観測装置として、ファイバー多天体分光器(FMOS)の共同開発を英国王立天文台と推進した。また、多波長同時分光器、近赤外広視野カメラなどの開発を、名古屋大学、東北大学などと協力して行った。この他、観測装置の性能をフルに発揮させるため、望遠鏡制御システム、データアーカイブシステム、データ解析システムの改造・開発も並行して行った。それぞれ、実用システムとして長期間安定に動作させることに成功した。
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