研究課題/領域番号 |
11694110
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
勝又 紘一 理化学研究所, 磁性研究室, 主任研究員 (90002104)
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研究分担者 |
松田 雅昌 理化学研究所, 磁性研究室, 研究員 (90260190)
田中 良和 理化学研究所, 磁性研究室, 先任研究員 (90250109)
萩原 政幸 理化学研究所, 磁性研究室, 副主任研究員 (10221491)
中村 哲也 理化学研究所, 磁性研究室, 基礎特別研究員 (70311355)
山崎 展樹 理化学研究所, 磁性研究室, 研究員 (00271528)
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キーワード | 量子磁性体 / 擬一次元反強磁性体 / ハルデン効果 / スピン梯子 / 磁場誘起相転移 / ESR / 磁化過程 / 磁気励起 |
研究概要 |
本年度は、我々のグループで発見したスピン量子数1を持つ擬一次元反強磁性体Ni(C_5H_<14>N_2)_2N_3(PF_6)の磁場中相転移現象について試料振動型磁化測定装置(VSM)による高磁場中での磁化測定を行い、低温、高磁場中での磁気秩序状態についての知見を得た。この物質について、広い周波数・磁場の領域をカバーする電子スピン共鳴装置(ESR)を用いて磁気励起を測定し、低温・低磁場では非磁性のハルデン状態特有のESR信号を観測した。また、低温・高磁場においては反強磁性共鳴信号の観測に成功し、磁気秩序が確かに誘起されていることを示した。、低温・高磁場領域で、これとは別のESR信号を観測し、解析の結果、これが一次元励起に対応することが分かった。この発見は、擬一次元反強磁性体の磁場誘起秩序相に関する新しい情報を与えるものである。 スピン梯子と一次元鎖が共存する物質La_6Ca_8Cu_<24>O_<41>単結晶を育成し中性子散乱法により磁気励起を調べた。梯子からの磁気励起信号の観測に成功し、初めて、ブリルアンゾーンの広い領域にわたってスピン梯子の磁気励起の分散関係を求めることが出来た。この結果について理論的研究を行い、梯子の脚と横木方向の相互作用だけでは分散関係を説明できず、4体の相互作用を導入すると現象が矛盾なく説明できることを示した。その他、多くの量子磁性体を合成し、その磁性を研究した。 平成11年12月6〜7日当研究のメンバーが東京に集って平成11年度の研究結果についての討論と成果の発表を行った。主要メンバーの一人であるカーン教授もこの研究会に出席され活発な討論を行った。この研究会から帰国された日にカーン氏はパリで急逝された(Nature403, 498(2000)).カーン教授の冥福をお祈りする。
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