研究課題
本年度は、昨年度に引き続き以下の2点について研究を行った。1.コ・ジェネレーションなど排熱有効利用のための相変化蓄熱システム昨年の研究から、硝酸マグネシウム・6水和物に融点調整剤として塩化マグネシウム・6水和物を混合させた潜熱蓄熱材が有望であることがわかった。本年度はこの蓄熱材を用いて実システムを模した蓄放熱実験システムを構築し、種々の温度条件の下での利用可能な蓄放熱量を明らかにした。その結果、どの混合割合の蓄熱材についても相変化温度を挟み温度差を10℃とった場合には、単位体積あたりの蓄放熱量は水の3倍程度と得られることを実証した。また、蓄熱材は200回程度までの凝固・融解の繰り返しに対して劣化は見られないことを明らかにした。一方、給湯システムおよび排熱利用型暖房システムの数値計算プログラムを作成し、システムとしての蓄放熱特性を明らかにした。2.粒状潜熱蓄熱材と空気との直接接触熱伝達を利用した蓄熱システム本年度は(1)外気冷熱利用給気調温システム、(2)給排気熱交換システム、(3)蓄熱型床吹きだし空調の3つの応用例について導入効果の検討を行った。まず、シミュレーションプログラムを作成し、実験との比較から計算結果の妥当性を検証した。次に、プログラムを用いて、(1)では全国の住宅に導入した場合の夏期冷房時の換気による熱負荷の削減効果を検討し、東京においても45%程度、日較差の大きな奈良などでは80%も削減できることを示した。(2)を住宅に導入した場合、夏期冷房時には95%、冬季暖房時には融点が異なる粒状PCM充填層を多段に利用すれば97%前後も換気による熱負荷を削減できることを示した。(3)については、実際の事務所ビルを模した実験システムを構築し、種々の条件においてピークカット効果に関する実験を行い、夜間の蓄熱により昼間の空調時間を大幅に減らせる結果を示した。
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