研究概要 |
本研究は,AEの超解像マッピングにより得られる震源分布の構造を岩石力学的に解析し,水圧破砕時における人工貯留層の挙動を理解することを目的としている。本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)AEの超解像マッピング:多成分高精度ピッキング法,ダブレット解析法,クラスタリング法,等の超解像マッピング法により,AEクラウド内のクラスタ構造を精度よく推定する方法を検討した。これらの手法をソルツ,雄勝,フェントンヒル各フィールドで取得したデータへ適用し,貯留層内部でのAE源分布を推定した。これにより貯留層内のAE源微細構造およびAEの空間分布密度をマッピングすることができた。また,水圧破砕時の圧力,流量,検層データとAE源の時空間分布を詳細に検討し,貯留層の進展挙動ならびにAEの発生機構を検討した。 (2)既存弱面とAE発震効率の関連の検討:既存の弱面がある岩体の水圧破砕について,弱面の方向,応力,間隙水圧とAE発震効率および透水性の関係を理論的に検討した。また,既存破砕面がある岩石試験片について3軸応力下でのき裂加圧試験を行い,応力とき裂のすべり挙動およびAE発震効率について実験的に検討した。さらに(a)で得られたAE源の分布と応力,既存弱面の関係について検討した。 (3)プロジェクトミーティング:平成12年11月にアメリカ,サンタフェでプロジェクトミーティングを開催した。本ミーティングには,日本側の代表者・分担者に加え,本研究課題に関連した研究を行なう欧米の研究者約20名が参加しAEの超改造マッピングおよび既存弱面とAE発震効率の関連について研究成果の発表ならびに討論を行なうとともに,今後の研究計画を検討した。
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