研究概要 |
本研究は,ダブレット/マルチプレット解析,コラプシング法,等に代表されるAEの超解像マッピング技術を使用して,貯留層内で発生したAE震源分布内の構造を検出し,さらにそれらの物理的意味について岩石力学の視点から解析し,水圧破砕時における人工貯留層の挙動を理解することを目的として実施した。 本研究では,海外研究協力者ならびに各国のHDRプロジェクトにおいてAE計測/貯留層評価に従事した研究者と連携し,実フィールドおよび実験室で取得したデータの解析をもとに研究を実施した。 本研究の主な成果は以下の通りである。 1.AEの超解像マッピング (1)AEダブレット/マルチプレット解析をソルツ,雄勝で記録したAEに適用し,AEダブレット構造面の大きさ,形状,傾斜,発生時系列,等について解析した。さらにこの結果と地質学的情報及び坑井内検層データを総合し,本フィールドでの水圧破砕時のき裂進展メカニズムを検討した。 (2)AEダブレット/マルチプレットの絶対位置を高精度に標定する方法を検討し,ソルツで既取得のデータに適用し,AE源が成す微細構造を推定した。 (3)コラプシング法を実現するコードを作成し,ソルツで記録したAEをマッピングした。 (4)コラプシング法の原理に基づき,不確定性を低減したマッピング法を検討し,シミュレーションにより性能評価を行うとともにソルツで記録したAEへ適用した。 2.既存弱面とAE発震効率の関連の検討 (1)既存の弱面がある岩体の水圧破砕について,弱面の方向,応力,間隙水圧とAE発震効率および透水性の関係を理論的に検討した。 (2)実フィールドでの既存弱面分布,地圧,間隙水圧等を実験室内で模擬し,既存弱面のせん断すべり時の挙動を計測した。
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