研究概要 |
本研究は、キャビテーション噴流により機械材料の耐食性および機械的強度を同時に向上させるハイブリッド表面改質の実証とその手法の確立を目的とする。本年度は,キャビテーション噴流による圧縮残留応力導入および耐食性向上の実証と,キャビテーション噴流の制御のために以下の研究を実施した。 1.キャビテーション噴流による圧縮残留応力導入の実証 東北大学が有するキャビテーション噴流試験装置およびX線回折式応力測定装置を用いて,ステンレス鋼,ばね鋼,合金工具鋼,炭素鋼にキャビテーション噴流を噴射することにより,各種材料に圧縮残留応力が導入できることを実証した。またマイクロビッカース硬さ計を用いて,微小領域の硬さを計測することにより,表面改質を定量評価できる可能性を示した。圧縮残留応力が大なるほど硬さも増大すること,また荷重を変えて硬さを計測することにより深さ方向の表面改質の程度も評価できる可能性を明らかにした。 2.キャビテーション噴流による耐食性向上の実証 ASTM規格のキャビテーション噴流式壊食試験装置を使用して,キャビテーション噴流を噴射した後の炭素鋼S45Cの腐食電位,および分極曲線を計測して,キャビテーション噴流により炭素鋼の耐食性が向上することを明らかにした。また同時に圧縮残留応力が導入できることから,キャビテーション噴流により,炭素鋼の機械強度と耐食性を同時に向上させるハイブリッド表面改質が可能であることを示した。 3.キャビテーション噴流の制御 ノズルスロート長さやノズルスロート入口形状を種々に変えて流量係数を計測した結果から,表面改質の再現性の観点から,シリンドリカルノズルが最適であることを明らかにした。
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