研究概要 |
本研究は,レーザおよび伝送装置に深い知識を有する物理学者,工学者,および装置を使用する立場の臨床家でチームを構成し,赤外,あるいは近赤外レーザ用の各種高機能先端デバイスを実現することを目的とする.使用目的としては,主に歯科治療を想定し,根幹治療など極細部へ効率よくレーザ光を導くための光学デバイスを開発する.本年度の研究成果は以下の通りである. 1.レンズ付きテーパ結合器の製作技術 ガラスをベースとしてテーパ構造を用い,その低損失化のために,銀膜をコートし反射率を上げ,さらに干渉効果を利用するため,誘電体膜のコートを行った.誘電体膜としては,ポリマー膜を用いて検討を行った.また,テーパ結合器の構造に対して理論的検討を行い,低損失および高効率な結合が可能な形状を求め,実験結果との比較検討を行った. 2.超細径中空伝送装置の製作と評価 内径250ミクロンと細径なポリマー内装銀中空ガラス導波路の製作技術について,検討を行った.ファイバの製作時の銀鏡反応装置において,新たに水冷装置を導入することにより,銀鏡反応時の反応速度を制御し,生成される銀薄膜の表面平滑化およびファイバ長手方向の均一化を達成し,細径ファイバにおいてもEr:YAGレーザ光に対する損失を低減することが可能になった, 3.先端出射デバイスの研究 歯科根幹治療の際に,導波路からの出射ビームを制御することを考え,出射ビームの方向制御が可能な固定曲がりファイバチップやその端面封止技術を開発した.封止方法としては,樹脂薄膜による封止,およびガラス製キャップによる封止の2通りについて検討した.
|