研究課題
国際会議の参加等による情報収集の一環として、5月に阿尻助教授が第7回日中石炭・C1化学シンポジウム(寰島大得大酒店)に参加、中国媒炭科学研究院を訪問した。一連の調査で、石炭化学の観点から重質油の改質手法に関する知見を得た。7月にNg教授が来仙し、本年度の研究方針についてDiscussionを行った。本研究で開発するプロセスの評価のためには、これまでの結果に加え、超臨界水中での部分酸化を利用した重質油改質の検討が必要であるとの結論に達した。これを受け、9月10日から12月19日までの佐藤研究員がWaterloo大学を訪問し、超臨界水中での部分酸化反応を利用したアスファルトの改質に関する共同研究・実験を行った。超臨界水処理は気相中の処理に比べてmaltene、gas量が増大し、ashaltene量が減少した。また、malteneおよびasphaltene中の硫黄の量が減少した。超臨界水+部分酸化条件では、硫黄分がcokeとして存在しうることが推察された。以上の結果は、超臨界水処理でアスファルトが軽質化すること、部分酸化条件下でアスファルト成分の脱硫が促進されることを示している。2月にNg教授、Rempel教授が来仙し、本プロセス開発の可能性評価と問題点に関して議論することで、これまでの研究成果を総括した。この一連の研究により、超臨界水を反応溶媒とした重質油改質は、クリーンなエネルギー・化学原料回収の手段として有用であることが明らかとなった。
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