研究課題
基盤研究(B)
超臨界水中には、種々の有機物や無機物が容易に溶解し均一相を形成する。したがって、超臨界水中での触媒反応においては均相触媒の溶解、あるいはコーク析出の抑制などの様々な効果が期待できる。また、超臨界水中での部分酸化反応では気相酸化に比べて部分酸化生成物であるCO生成が促進され、反応場に存在する水との水性ガスシフト反応により水素化が進行すると考える。本研究では、これらの現象の解明を目的とし、超臨界条件下における触媒の溶解度の評価、超臨界水中での部分酸化反応を利用した重質油の新規改質法の開発に関する研究を行った。超臨界二酸化炭素中でのモリブデンヘキサカルボニルの溶解度測定においては、超臨界条件下における金属化合物触媒のin-situ測定技術の開発を主目的とした検討を進めた。その結果、FT-IRを用いることで金属触媒濃度の算出が可能であることを見出した。超臨界水中での部分酸化反応を利用したアスファルトの改質に関する検討も行った。気相中の処理に比べて超臨界水処理ではmaltene量、gas量が増大し、ashaltene量が減少した。また、malteneおよびasphaltene中の硫黄の量が減少した。超臨界水+部分酸化条件では、硫黄分がcokeとして存在しうることが+推察された。超臨界水処理でアスファルトが軽質化すること、部分酸化条件下でアスファルト成分の脱硫が促進されることが明らかとなった。この一連の研究により、超臨界水を反応溶媒とした気質油改質は、クリーンなエネルギー・化学原料回収の手段として有用であることがわかった。
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