研究課題/領域番号 |
11694124
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石田 清仁 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (20151368)
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研究分担者 |
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202004)
大谷 博司 東北大学, 学際科学研究センター, 助教授 (70176923)
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キーワード | 規則-不規則変態 / 状態図 / 熱力学データベース / CALPHAD / 相平衡 / 磁気変態 / 国際研究者交流 / スウェーデン |
研究概要 |
Fe,NiおよびCo基の多くの合金では、磁気変態と規則-不規則相変態が共存し、規則相と不規則相の磁気的性質が異なる。その結果、磁気変態と規則変態に相互作用が生じて、規則相の安定性が変化するため、変態温度の異常な変化や規則相と不規則相の2相分離など、複雑な相平衡を呈する。本研究では、スウェーデン・王立工科大学のBo Sundman教授との共同研究により、これらの相変態と相互作用効果を取り込んだ熱力学モデルを考案して、CALPHAD法によりBCCおよびFCC構造の規則、不規則相の相安定性を解析した。前年度までの解析の結果、Fe-Al2元系BCC相およびFe-Ni2元系のFCC相における相互作用効果が相平衡に及ぼす影響を明らかにした。本年度はともに強磁性元素であるFe-Co2元系に注目して、規則相FeCo(B2)と不規則相BCC(A2)の磁気的性質と相安定性を評価した。Fe_<50>Co_<50>-Fe_<70>Al_<30>(at.%)およびFe_<50>Co_<50>-Fe_<84>Si_<16>(at.%)断面上の組成の合金を作製してDSCによる熱分析を行い、A2/B2変態温度と磁気変態点Tcを決定した。B2規則状態およびA2不規則状態のBCC相のTcを0%Al軸および0%Si軸に外挿してA2およびB2構造を有するFe-50at.%CO合金のTcを見積もった結果、Tc(B2)=1360℃およびTc(A2)=1120℃が得られ、規則化に伴いTcが240℃上昇することが分かった。本研究で考案した規則化に伴う磁気的性質の変化を考慮した熱力学モデルを用いてFe-Co2元系の熱力学的解析を行った結果、相互作用を無視した計算条件ではFe-50at.%Co合金のA2/B2変態温度は270℃と見積もられる。この結果から、Fe-50at.%Co合金のB2規則構造は270℃以上では本来不安定であるが、規則化と磁気変態の相互作用効果により安定化され、変態温度が730℃まで上昇することが明らかになった。
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