研究概要 |
種々の合金において規則相と不規則相の磁気特性が異なる.その結果,磁気変態と規則変態に相互作用が生じて,規則相の相安定性が変化するため,変態温度の異常な変化や規則相と不規則相の2相分離など,従来の熱力学モデルでは解析不能な複雑な相平衡を呈する.本研究では,スウェーデン・王立工科大学のBo Sundman教授と共同研究を行い,これらの相変態と相互作用効果を取り込んだ熱力学モデルを開発して,CALPHAD法によりBCCおよびFCC構造の規則・不規則相の安定性を解析して,以下の知見を得た. (1)Fe-Al2元系の相平衡の決定および熱力学的解析を行った.その結果,BCC相の規則化に伴う磁気特性の低下による自由エネルギーの減少に起因し,強磁性規則相が不安定化して,A2/Be/DO_3の相分離が生じることを明らかにした. (2)Ni_<75>Fe_<25>-Ni_<75>Si_<25>およびNi_<75>Fe_<25>-Ni_<75>Al_<25> (at.%)擬2元系状態図を決定した.相境界と磁気変態点T_cをNi_<75>Fe_<25>軸に外挿して,A1/L1_2変態への相互作用効果を評価した.規則化によりNi_<75>Fe_<25>合金のT_cは約100℃上昇する.その結果,規則相の磁気エネルギーが増大し,A1/L1_2変態温度が180℃上昇することが明らかになった. (3)Fe_<50>Co_<50>-Fe_<70>Al_<30>およびFe_<50>Co_<50>-Fe_<84>Si_<16> (at.%)擬2元系状態図を決定した.A2/B2相境界と磁気変態点T_cをFe_<50>Co_<50>軸に外挿して,B2規則化への相互作用効果を評価した.規則化によりFe_<50>Co_<50>合金のT_cは約240℃上昇する.その結果,規則相の磁気エネルギーが増大し,A2/B2変態温度が490℃上昇することが明らかになった. 以上の結果を考慮して,Fe-Al, Fe-NiおよびFe-Co2元系の熱力学的解析を行った.
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