本研究は当初国際学術研究一共同研究として始まり、制度の変更により基盤研究(B)(2)として行われたものである。河口が8回スイス連邦工科大学を、G. Guekosが2回山形大を訪問し、共同研究を行った。又、川添が平11.8.1〜11.10.4の間スイス連邦工科大に滞在し、半導体光増幅器を共同で作製し、L.. Occhiが平12.7.14〜12.9.17の間山形大に滞在し、半導体光増幅器の光非線形効果について共同研究を行った。 研究成果は以下のとおりである。 (1)利得幅を拡大したMQW構造SOAにフェムト秒光パルスを入力し、利得飽和特性を評価した。その結果、利得飽和の波長依存性は小さいが、わずかに長波長ほど飽和出力が大きいことがわかった。又、直交偏光ポンプ・プローブ法を用いて、SOAの光学利得のダイナミックスを測定し、数100fsの高速応答が得られることが分かった。 (2)半導体光増幅器中のサブピコ秒光パルス間の4光波混合特性について理論的に検討した。多重分離(DEMUX)の最高速度は主に半導体光増幅器の利得帯域幅で決まっていること、パターン効果は実用上問題にならないことがわかった。又、時分割多重信号の周波数多重信号への変換に有用であることがわかった。さらに、4光波混合で発生した信号光の持つ位相共役特性について検討した。 (3)半導体光増幅器中を伝搬したサプピコ秒光パルスの波形を、相互相関法を用いて約100fsの分解能で測定した。又、半導体光増幅器を伝搬したサブピコ秒光パルスを差分ビーム伝搬法を用いて解析し、相互相関波形、スペクトルともに実験結果に近い傾向を得た。 (4)ハイブリッドモード同期半導体レーザで発生した光パルスを、1.3μmで零分散となるファイバを用いて圧縮し、自己相関パルス幅で450fsの極短光パルスを実現した。
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