研究概要 |
平成12年度には、磁性体/半導体ハイブリッド系材料の電子・光・磁気物性の解明に焦点をあてた以下の研究を行った。 (1)強磁性体(MnAs)/非磁性半導体(InAs,GaAs,AlAs)から成るヘテロ構造の磁気特性 ・さまざまな結晶方位をもつMnAsエピタキシャル薄膜の磁気光学効果(磁気円2色性)スペクトルを測定し電子構造の理論計算との比較を行った。またその温度依存性を明らかにした。 ・低温-室温における磁気抵抗効果、特にスピンバルブ効果を観測し、その温度依存性およびスペーサの半導体の禁制帯幅依存性を調べることにより、キャリア熱励起の影響を明らかにした。 (2)GaMnAs/AlAs/GaMnAsから成る強磁性半導体ヘテロ接合を成長し、強磁性トンネル接合デバイスを作製した。AlAs障壁幅が1.6nm以下の薄い場合には70%を越える非常に大きなトンネル磁気抵抗効果を低温で観測した。 (3)半金属(ErAs)/III-V半導体ヘテロ構造のエピタキシャル成長と垂直伝導デバイス ・GaAs/ErAs/GaAs埋め込みヘテロ構造を成長し、原子レベルで平坦かつ急峻なヘテロ構造を形成したことを確認した。 ・ダイオードを作製し垂直方向の電子伝導を調べたところ、室温で7.2,77Kで18.3という極めて大きなピーク/バレー比をもつ微分負性抵抗特性を観測した。
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