研究概要 |
研究代表者らが独自に開発した、磁性イオンを大量に含むIII-V族磁性半導体、および強磁性金属とIII-V半導体とから成るヘテロ構造を、分子線エピタキシーによって原子レベルで構造と膜厚を制御しながら作製し、磁性体/半導体ハイブリッド系材料の形成技術を確立した。さらに、その物性を探索するとともに、従来の半導体または磁性体の単独物質ではみられない機能の実現とそのデバイス応用の研究を行い、下記の成果を得た。 (1)磁性半導体(GaMnAs)および磁性半導体(GaMnAs)/非磁性半導体(InAs, GaAs, AlAs)から成る量子ヘテロ構造、さらにGaAs中にMnAsクラスタを埋め込んだグラニュラー構造における磁気光学効果の増大を実現した。これを利用した半導体磁気光学結晶を作製し、光アイソレータ応用の指針を示した。 (2)III-V族半導体レーザと集積可能な導波路型光アイソレータの提案・解析を行った。 (3)磁性金属(MnAs)/III-V半導体(GaAs, AIAs)エピタキシャルヘテロ構造からなる強磁性トンネル接合デバイスを試作し、低温から室温に至るまでトンエル磁気抵抗効果を観測した。 (4)強磁性(GaMnAs)/非磁性(ALAs)III-V半導体エピタキシャルヘテロ構造からなる強磁性トンネル接合デバイスを試作し、低温で最大75%に達する大きなトンエル磁気抵抗効果を観測し、このような単結晶強磁性トンネル接合におけるスピン依存トンネル現象ではキャリアの界面平行の結晶運動量ベクトルκ_<//>が保存されることを示した。
|