研究課題/領域番号 |
11694140
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
多田 充 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (20303331)
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研究分担者 |
櫻井 幸一 九州大学, 工学部, 助教授 (60264066)
伊東 利哉 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助教授 (20184674)
篠田 陽一 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (50206108)
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キーワード | 多重署名 / 委任署名 / 安全性の証明 / 電子現金 |
研究概要 |
3年前に北陸先端科学技術大学院大学が初めて順序付き多重署名方式を提案した。この方式は構造を持つ暗号システムである。M.Burmesterらとの共同研究として発表した「Structured ElGamal-type multisignature scheme」は、その順序の構造をseries-parallelグラフにした順序付き多重署名方式であり、その安全性については「グラフ構造を変えた偽造署名を作成する難しさは、離散対数問題を計算するのと同程度に難しい」ことが証明された。しかし最近では、署名方式に関しては「攻撃の種類」と「偽造のタイプ」を分けて全部で6種類の安全性の基準が定義されている。前述の方式に関しては、一人の正当な署名者以外の全署名者が「受動的攻撃」をおこなって「一般的偽造」をおこなう難しさを評価したものである。最強の攻撃「適応的選択文書攻撃」による「存在的偽造」に関しては、その安全性は未解決である。 T.Okamotoらとの共同研究として発表した「Proxy signature(委任署名)scheme」は、会社などの組織で署名作成が一極集中しないように構成された署名システムで、まさに実際の社会に必要とされているものである。委任署名自体はすでに提案されていたが、前述の方式は従来の方式より計算及び通信コストを削減しており、また安全性に関しても受動的攻撃による一般的偽造の難しさを評価している。「適応的選択文書攻撃」による「存在的偽造」に関しては未解決である。 また、署名方式の応用として「電子現金」が挙げられ、数多くの方式が提案されて、また実証実験も進んでいる。これらは発行機関である銀行の秘密鍵が漏れない限り、ある程度の安全性は保証されている。しかし実際の社会では、銀行の内部行員による不正も数多く指摘されている。その場合、銀行の秘密鍵が漏洩し、不正なユーザにより電子現金が偽造されるが、既存の方式では、そのようにして偽造された現金と、正当な現金を区別することができなかった。小出らとの共同研究により発表予定の「関連づけ可能な匿名オフライン電子マネー」は、電子マネーをシリアルナンバーで管理することによって、偽造された現金を見つけるものである。
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