研究課題/領域番号 |
11694143
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
鈴木 正昭 岐阜大学, 工学部, 教授 (90093046)
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研究分担者 |
細谷 孝充 岐阜大学, 工学部, 助手 (60273124)
渡辺 恭良 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40144399)
野依 良治 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50022554)
松村 潔 京都大学, 大学院・情報学研究科, 助教授 (10157349)
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キーワード | 15R-TIC / 15-deoxy-TIC / PET / アポトーシス / IP_2 |
研究概要 |
本年度は、まず、脳内中枢型プロスタサイクリン受容体IP_2の陽電子放射断層画像撮影法(PET)による局在解析のための特異的リガンド15R-TICのPETトレーサー合成条件の最適化を検討した。前年度までに開発した、メチルパラジウム錯体とフェニル銅錯体を別途に調製する2ポット操作法をさらに改良し、合成前駆体であるスズ体から約2.5ギガベクレルの総放射能量を持つ15R-[^<11>C]TICメチルエステルを放射化学収率50 75%、放射化学純度95%以上で再現性よく合成する方法が確立できた。これによりサルの約10倍の容積を持つヒト脳に適用できるPETトレーサーを供給することが可能となった。続いて、PGの脳内到達性、代謝安定性の向上を目的に15R-TICの誘導体15-deoxy-TICを設計し、その率合成法を確立した。15-deoxy-TICのプロスタサイクリン受容体に対する率合実験を行ったところ、IP_1受容体に対する結合性は弱く、IP_2への結合の強さは15R-TICの10倍以上であることがわかった。また、15-deoxy-TICは高酸素状態で引き起こされる海馬神経細胞のアポトーシスを低濃度で完全に阻害し、その作用は15R-TICの10倍にもなることを確認した。この結果をもとに、15-deoxy-TICのPETトレーサー化についての検討を行った。まず、15R-TIC合成の中間体であるアルデヒド体を出発物質として、6段階で15-deoxy-TICのPETトレーサー前駆体であるスズ体を合成することに成功した。合成したスズ前駆体を用いてパラジウム触媒によるメチル化反応を行ったところ、高収率でメチル化体を得ることができた。これにより15-deoxy-TICのPETトレーサーを供給することが可能となった。以上、本年度の研究は概ね計画通りに遂行できた。
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