研究課題/領域番号 |
11694148
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
|
研究分担者 |
後藤 康仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (00225666)
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助手 (20127103)
|
キーワード | 負イオン注入 / ポリスチレン / シリコーン / ポリ乳酸 / 吸収性高分子 / 細胞接着特性 / 神経細胞 / ガイドチューブ |
研究概要 |
1.パターン化負イオンビーム表面処理と人為的神経回路網の形成 ポリスチレンディッシュやスピンコートしたポリスチレン薄膜に、幅50μmで長さ4mmのスリット列を有するマスクを介して種々の条件で負イオン注入して、パターン化負イオンビーム処理を施し、ラット副腎髄質褐色腫細胞である神経細胞PC-12hを培養した。その結果、銀、銅、炭素など各種の負イオンを10-20keVで10^<15>ions/cm^2程度注入することにより、注入パターン状に神経細胞を接着し、かつ、神経突起をこの領域にのみ伸展させられることが判明した。これにより、人為的な神経回路を形成した。また、電極パッドにより、容量性結合で外部パルスを印加すると正電位能動電極に向かって神経突起が伸展する確立が多きことが明らかとなった。また、これまでに得られた研究成果をイオン注入に関する国際会議IIT2000(Alpbach,Austria)で公表した。 2.吸収性高分子ポリ乳酸の負イオンビーム処理と欠落神経治療用ガイドチューブの開発 欠落神経治療用のガイドチューブではシリコーンが用いられ、将来は生体内で分解吸収されるポリ乳酸の利用が期待されている。シリコーンやポリ乳酸の細胞接着特性の改質を炭素負イオンビーム処理で行った。 その結果、シリコーンでは表面を親水化でき、コラーゲンの塗布により選択的細胞接着特性を付与できた。ポリ乳酸では5keVでの炭素負イオンビーム処理では表面の疎水化が、また他のエネルギーによる処理では表面の親疎水性に変化はなかった。ポリ乳酸の細胞接着特性では、5-10keVの処理では細胞接着特性の除去が、30keVの注入では選択的細胞接着特性の付与が確認された。 炭素負イオンビーム処理シリコーンガイドチューブを作製したラットの欠落神経部分に埋め込んだ動物実験を行っているが、神経の再生・回復には長時間が必要であるため、まだ明確な結果は得られていない。
|