研究概要 |
本年度は前年度に引き続き,研究代表者と外国に在住する研究分担者が相互に訪問し,情報交換を行うとともに,本格的な共同研究を実施し,以下のような研究成果を得た. 1.最適化問題と均衡問題が融合した問題の典型的な例である均衡制約をもつ数理計画問題は理論的に非常に取り扱うのが困難な問題とされ,理論的にも実用的にも優れた数値解法はほとんど存在しなかった.今年度は,前年度に開発した連続法と呼ばれる方法に続いて,有効制約法と呼ばれる手法を開発した.この方法は,先の手法において仮定されていた厳しい条件なしでも最適解を得ることが保証されており,より一層実用性の高い方法であるということがいえる. 2.均衡問題の重要なクラスである相補性問題を拡張した2次錐相補性問題と呼ばれる問題を取り上げ,その性質を考察するとともに,その問題に対する平滑化関数を構成することにより,ひとつの数値解法を提案した.2次錐の概念は,近年,凸最適化において重要な地位を占めつつある半正定値計画問題とも密接な関係を有しており,応用上も極めて有用である.ここで提案したアプローチは,2次錐が最適化問題をさらに拡張した相補性問題においても効果的に取り扱うことができることを示したものであり,今後この方向での研究の発展が大いに期待できる.
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