研究課題/領域番号 |
11694152
|
研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
野中 泰二郎 中部大学, 工学研究科, 教授 (60027224)
|
研究分担者 |
高畠 秀雄 金沢工業大学, 工学部, 教授 (20064462)
谷村 真治 大阪府立大学, 工学部, 教授 (30081235)
平澤 征夫 中部大学, 工学部, 教授 (50065281)
三村 耕司 大阪府立大学, 工学部, 講師 (70181972)
|
キーワード | 衝撃 / 破壊 / 応力波 / 地震 / 構造物 / 過渡応答 / 動的挙動 / 数値解析 |
研究概要 |
主として当該年度に得られた研究成果の概要は以下のとうりである。 兵庫県南部地震では多くの建物被害が発生したが、メガストラクチャーの被害としては芦屋浜高層鉄骨建物の被害が特徴的である。芦屋浜高層住宅の被害は、(1)極厚断面柱の破断と(2)柱・ブレースの一体破断であり、連続体による動的解析の結果から、(1)の破断が発生する事が確認できた。また、構造物に発生した被害箇所は解析結果で示す事が出来た。特に、主柱の破断が4階と8階の段落し部分での溶接部に多発した原因は、急激なエネルギーの変化と破断とが密接に関係している事が明かとなった。(2)の問題は、連続体を有限要素にする際、フレーム解析よりは高次のシェル要素を用いた解析結果から、破断過程を解明できた。 直下地震による大型鋼構造物の破壊過程解明のための一つのアプローチとして、鋼製箱型断面柱にぜい性破断が生じた24階建ての実高層建築物に近づけた有限要素モデルを作成し、そのモデルの底部に,兵庫県南部地震時の各種記録波形を入力して、その構造物モデルの過渡応答時の三次元動的挙動を解析して検討した結果、そのような24階建ての高層建築物に阪神・淡路大震災時に記録された程度の激しい上下・水平方向の揺れが作用するとき、その激しい揺れの作用時とほぼ対応した時刻における大型鋼構造物の過渡応答時において、その構造物中の複数の柱に高い引張応力が発生して、ぜい性破断が生じる可能性が高いこと等がわかった。また、同じ鋼材でも、対象とする材料が小型の試験片のときに比較して大型の鋼部材の場合には、よりぜい性破断が発生しやすくなることが数値シミュレーションの結果、明らかになった。 2種類の橋脚の有限要素モデルに対する数値シミュレーションにより、直下地震動の揺れ初期の激しい上下・水平動の作用時と対応したモデルの過渡応答時の主要応答により、動的破損や破壊の開始が起こる可能性が高くなるときは、その初期の激しい揺れ速度波形の立上り時間や立下り時間が短いときほど、また解析モデルがより高層や長大となるときであることがわかった.これらの特異な動的挙動は、構造物中を伝わる応力波の影響を考慮することで理解される.
|