研究概要 |
本研究では,人工知能とロボティクスの新たな挑戦課題として提案された国際共同研究プロジェクト「ロボカップ(ロボットによるサッカー競技に関連するすべての研究課題とその実現)」について,ロボットの学習・発達・進化アルゴリズムを国際的な共同研究で開発し,実機を用いた検証実験を通してその有効性を確認することを目的とし,最終年度である本年度は,各研究グループで,それぞれ推進してきた研究成果を持ち寄り,討論してきた.阪大グループでは,複数ロボットによる協調を実現させるために,進化的手法を用いてきた.進化プログラムの価値基準を適応的に変化させ,行動を進化させる際に,無駄な探索を低減するために,初期条件,終了条件を加味し,適切かつ円滑な行動ならびに行動系列を獲得するころができ,実機で検証した.また,マルチエージェント環境における複数のタスクの動的切り替えの適応機構を考案し,これも実機で検証した.南カリフォルニア大のグループでは,形態変更可能な機構によるロボットとして,最連結可能な関節機構を考案し,実機での検証実験を行っている.ロボットの各パーツを個々のエージェントと見立てた場合のマルチエージェント環境における物理的拘束の元での協調と見なせる.スイスのファイファー教授のグループでは,生のセンサー情報間の情報理論的拘束を用いたロボットの概念獲得過程の実験を行い,基本的なアーキテクチュアを提案している.2001年8月上旬にシアトルで開催されたロボカップ2001において,3件の研究発表と共に競技会において研究成果を披露し,好成績(中型で準優勝)を収めた.
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