研究概要 |
人工知能とロボティクスの新たな挑戦課題として提案された国際共同研究プロジェクト「ロボカップ(ロボットによるサッカー競技に関連するすべての研究課題とその実現)」について,マルチロボット環境における学習・発達・進化アルゴリズムを国際的な共同研究で開発し,実機を用いた検証実験を通してその有効性を確認することを目的として,阪大グループでは,ロボカップにおけるロボットの基本行動,協調行動の実現に向けた学習,進化手法を実施した.特に,行動進化プログラムの価値基準を適応的に変化させ効率化をはかり,競技会で実証した.南カリフォルニア大のグループでは,形態変更可能な機構による,マルチエージェントの協調動作研究においてホルモンに基づく制御法を提案し実装し,その有効性を示した.またイスグループでは,センサ系とモータ系のマッピングから,対象の概念獲得の学習アルゴリズムなどの基礎的研究をさら推進めた.さらに,生のセンサー情報間の情報理論的拘束を用いたロボットの概念獲得過程の実験を行い,基本的なアーキテクチュアを提案している.これらの成果は,ロボカップの国際ワークショップ,国際シンポジウムなどで発表,討論され,今後,ロボカップの直接応用ばかりでなく,むしろロボットの基礎研究をロボカップのコミュニティーを通じて,情報交換ならびに新たな共同研究の発掘につながり,各国で個別の研究予算獲得などの活動が見られたことは,本研究課題の大きな成果の一つといえよう.尚,本研究課題は,国際共同研究の旅費を援助する目的が主であり,個々の研究テーマに関連した備品や消耗品は,それぞれのテーマに従った研究予算から支払われている.
|